インビザラインなどの海外の矯正メーカーの登場により、矯正装置を作る際に必要な石膏模型の輸送にとても時間がかかるようになりました。
そのため各種メーカーが、光を使ってデータ化したものを矯正装置の作製先に送れるようにと「光学印象」というシステムを開発しました。
当院では3D光学スキャナーの「iTero」を導入しています。
目次
光を使ってお口の中を3D化
光学印象の仕組み
光学印象とは、レーザー光をお口の中にをて、返ってきた光の形によってお口の中全体を3Dデータに変換する印象(型どり)の方法です。
みなさんも一度は経験のあるドロドロとしたシリコンや石膏(印象材)を使った歯型採りから解放されます。
また、このシステムは矯正装置の作製だけに使えるのではありません。
歯科医院内に導入すれば、その他かみ合わせの把握や、補綴物の作製時などにも利用できる画期的な機器です。
iTeroを使った矯正治療の流れ
・ スキャニング装置を使い歯列をスキャンします。・ 得たデータを歯科医師が確認します。
・ スキャンデータとその方の処方箋を、マウスピース作製先へオンラインで送付します。
・ マウスピースが届きます。
・ 治療を開始します。
iTeroのメリット
iTeroを使用することのメリットはたくさんあります。
・スキャナによる患者様のメリット
インビザライン矯正では、iTeroで患者様の口腔内を立体的にスキャンし、歯型採りを行います。
インビザライン矯正では通院ごとの歯型採りは行いません。iTeroによる最初のスキャン1回だけですべての歯型採りが終了します。
・矯正後の歯並びの見た目を事前にシミュレーションできるメリット
インビザライン矯正では、iTeroでスキャンした口腔内データをもとに、「歯の動かし方」や「矯正後の歯並びの見た目がどうなるのか」などの治療前のシミュレーションを行います。
シミュレーション時間は最短で10~20分程度で完成いたします。
つまりiTeroでお口の中を撮影した当日に、その場で「矯正後の歯並びの見た目」を精密な3D画像でご確認いただけます。
矯正後の歯並びの様子を実際に画面で見てご確認いただけるため、「矯正治療が終わったときにこういう歯並びになるんだ」というイメージが持ちやすくなり、矯正期間中のモチベーション維持にもつながります。
・スピーディーに治療を進められるメリット
iTeroで採取した口腔内データはインビザラインを運営するアメリカのアライン・テクノロジー社にオンラインで送信されます。
オンライン送信のため歯型模型の輸送や確認をする必要がありません。
シリコンや石膏を使う矯正治療と比べて平均で10日以上治療期間を短縮できます。
データ送信後は検査で得られた口腔内データをもとにアライン・テクノロジー社がクリンチェック(インビザライン矯正専用のシミュレーションソフト)を使い、歯の動かし方や矯正後の歯並びがどうなるかのシミュレーションを行います。
クリンチェックの結果を見て、歯科医師がシミュレーション内容に手を加え、
患者様の「こういう歯並びになりたい」などの要望も採り入れて最適な治療計画を立てていきます。
治療計画の承認後、歯型採りから最短で16日程度(※)でマウスピースが到着します。
マウスピースが届いたら、いよいよインビザライン矯正のスタートです。
(※)あくまで最短の期間です。お口の状態や症例によってはマウスピースの到着まで1か月程度のお時間をいただく場合がございます。
iTeroのまとめ
インビザラインなど海外メーカーの矯正装置の普及と共に、それをよりよく生かすための光学印象機器が登場しました。iTeroは患者様や歯科医院に多くのメリットをもたらします。
まだまだ導入している歯科医院が少ないのが実情ですが、この画期的なシステムは今後さらに広がりを見せ、より良い歯科医療の一端を担ってくれるのではないでしょうか。