インプラントは現在広く行われるようになり、術式もより安全なものへと変わっています。
しかし、場合によっては失敗となることもあります。
大きな外科処置をともない、長期間のメンテナンスが必要なだけに、その原因はさまざまです。
インプラントの失敗例にはどのようなものがあるのでしょうか。
原因と改善方法も合わせて解説します。
目次
■インプラントの失敗例
◎インプラントが固定しない
インプラントを埋入しても、いつまでたっても歯槽骨に固定されないケースがあります。
いつまでも固定されなければ除去する必要があります。
固定しない原因には、以下のようなものがあります。
・骨の問題
骨粗しょう症などで骨の密度が足りないとインプラントが固定されないことがあります。
また、骨の高さや厚みがない場所に埋入してもインプラントが固定しないことがあります。
骨に問題がある場合は特に、無理な処置は禁物です。
奥行きや高さについては骨造成で補えることもありますので、歯科医師とよく相談しましょう。
・埋入位置の問題
インプラントを埋入する位置や深さが適切でなかった場合、インプラントが固定しないケースがあります。
上顎洞や口腔内へインプラントが貫通してしまい、固定しないという失敗もあります。
◎インプラントの脱落
インプラントは天然の歯と違い、歯槽骨と直接結合しています。
天然の歯のように間に歯根膜のクッションがないため、炎症が広がると一気に広がってしまうという特徴があります。
これをインプラント周囲炎と呼びます。
このインプラント周囲炎にかかってしまうと、インプラントの早期脱落に繋がることがあります。
◎痛みや違和感が喪失しない
インプラント埋入後、いつまでも痛みや違和感が続くのも、インプラントの失敗例といえます。
細菌感染を起こしていたり、神経や血管に触れていたりすることで痛みや違和感が残ってしまうことがあります。
◎破損や脱離
人工歯やアバットメント部分の破損や脱離が起こるのも、インプラントの失敗例といえます。
これは噛み合わせの調節やネジの締め具合が適切でなかったときなどに起こります。
■インプラントで失敗しないために
◎事前検査をきちんと行う
インプラントで失敗しないためには、事前検査をきちんと行うことが大切です。
骨の奥行きや神経の位置などをしっかり把握するだけでなく、基礎疾患など、全身の状態が問題ないかについても、歯科医師と相談してしっかりと検査しておく必要があります。
◎滅菌消毒をきちんと行う
術中に細菌が入り込んでしまわないように、滅菌消毒をしっかり行っている医院を選ぶとよいでしょう。
細菌感染は痛みや違和感が続く原因になるだけでなく、インプラント周囲炎を引き起こすこともあるので注意が必要です。
◎歯科医院、ご自宅両方でのメンテナンスを
歯科医院でクリーニング、噛み合わせなどの調整を定期的に行ってもらいましょう。
何か変化があれば早く気づくことができます。
定期検診に通っていないと保証が受けられなくなるケースもあるほど、定期的な検診は大切です。
また、ご自宅でのケアもとても大切です。
歯周病になると天然歯よりずっと早く炎症が波及するため、毎日のご自宅でのケアがとても重要です。
【インプラント失敗の原因と改善方法をよく知って】
インプラント失敗と一口にいっても、さまざまなケースがあります。
そのため、それらの原因に合わせて事前に検査や前準備を行うことが改善につながります。
また、インプラントは埋入後のメンテナンスが特に影響を及ぼす治療です。
歯科医院でのメンテナンス、ご自宅のケアを合わせて、清掃状態の良い口腔内を維持することが大切です。