インプラント治療は、歯を失った部分に人工歯根を埋め込み、天然歯と同様の機能と見た目を回復する方法です。
しかし、何らかの原因でインプラントが取れたり、外れたりするケースも発生します。
インプラントが緩んだり外れたりした場合、早急な対応が必要です。
この記事では、インプラントの基本構造に触れた上で、取れたり外れたりした場合の対処法や放置するリスク、処置について解説します。
目次
■インプラントの構造
◎フィクスチャー(人工歯根)
フィクスチャーは、顎骨に埋め込まれる人工歯根部分で、チタンなどの素材が使用されています。
この部分が骨がしっかりと結合し、インプラントの土台として支えの役割を果たします。
◎アバットメント
アバットメントは、フィクスチャーと上部構造を繋ぐ中間部分です。
この部分はかみ合わせの方向などを微調整する部分で、インプラント全体が安定します。
◎上部構造
上部構造は、歯の見た目や噛む機能を担う、人工歯の部分です。
■再手術が必要なケースとは
◎フィクスチャーから脱落した
フィクスチャーが顎骨から脱落した場合、再手術が必要になります。
取れたインプラントを元に戻すことは基本的にできません。
新しいフィクスチャーを再手術で埋め込むことで、再度嚙み合わせを回復させます。
◎アバットメントや上部構造が破損した
アバットメントや上部構造が破損した場合、通常は修正や再装着で対応できることが多いです。
特にアバットメントが緩んだり、上部構造が取れた場合は、再度しっかりと固定したり、新しい部品を取り付けたりすることで治療が完了します。
■インプラントが取れた・外れた場合の対応
◎まず歯科医院へ連絡
インプラントが取れたり外れたりした際、まずは患部を清潔に保つことが大切です。
取れたインプラントは破損を避けるために安全な場所に保管し、すぐに歯科医院へ相談しましょう。
痛みがある場合は、市販の痛み止めを使用して一時的に対処することも可能ですが、自己判断で処置せず歯科医師の指示を仰ぐことが重要です。
■インプラントが破損したまま放置するリスク
◎感染リスクの増加
外れたインプラント部分が清潔に保たれないと、細菌が繁殖しやすくなり、感染症のリスクが高まります。
特にフィクスチャー部分が外れている場合、顎骨や周囲の組織が細菌感染を起こす恐れがあり、痛みや腫れが生じることがあります。
感染症が進行すると、治療が難しくなるため早急な対応が求められます。
◎口腔内の怪我
インプラントが外れた状態で食事や会話を続けると、口腔内の組織に傷をつけるリスクが高まります。
特に鋭利な部分が露出した場合、舌や頬の内側が傷つき、痛みや炎症を引き起こす可能性があります。
また、傷口から細菌が侵入しやすくなるため、感染のリスクも増加します。
インプラントが外れた際には、口腔内の保護と清潔を保つため、速やかに対応することが重要です。
◎噛み合わせの悪化
インプラントが外れていることで、他の歯に負担がかかり、噛み合わせが悪くなるリスクもあります。
特に上部構造が取れたまま食事を続けていると、他の歯が過剰に負担を受け、歯並びや顎関節に悪影響が生じることがあります。
【インプラントが破損した場合は放置しないで】
インプラントが取れたり外れたりした場合、放置せず早めに対処することが重要です。
フィクスチャー、アバットメント、上部構造のどこが外れたかによって対応が異なり、専門的な診断が欠かせません。
インプラントが外れたまま放置すると、怪我をしたり、骨が痩せたり噛み合わせが悪化したりといったリスクがあるため、速やかに歯科医院に連絡しましょう。