むし歯が神経まで進行した時に行われる治療が、根管治療です。
歯の寿命を延ばすために欠かせない治療ですが、実は再発率が比較的高く、治療したはずの歯がまた痛み出したという経験をお持ちの方もいらっしゃいます。
近年では、歯科用マイクロスコープや歯科用CTを導入することで、根管治療の精度と成功率が大きく向上しています。
今回は、これらの機器を活用することで、なぜ再発リスクが減るのかを詳しく解説します。
目次
■根管治療と再発の原因
◎歯の内部をきれいに清掃して密閉する治療
根管治療とは、歯の中にある神経や血管が通っている根管という細い管の中から、感染した組織を除去し、消毒、洗浄した後に薬剤を詰めて封をする治療です。
むし歯の進行が神経まで及んだ場合や、過去に治療した歯が再び炎症を起こした場合などに行われます。
この処置は非常に細かく、根管の太さはわずか1ミリ以下と狭いため、手探りだけでの治療では限界があるのです。
◎再発の原因は見えないこと
今までの根管治療では、肉眼に頼る部分が多く、見えないまま勘に頼って処置を進めなければならない場面もありました。
その結果、感染している部分が取り残されたり、枝分かれした根管が見えずに処置できなかったりすることで、数年後に再発してしまうことがあるのです。
■マイクロスコープを使うとどう変わる?
◎肉眼では見えない構造が見える
マイクロスコープは、最大20倍程度まで拡大して見ることができる歯科用の顕微鏡です。
これを使用することで、これまで肉眼では見えなかった歯の内部構造がはっきりと見えるようになります。
◎削る範囲を最小限にできる
マイクロスコープを使用すると、必要な部分だけを削ることができ、健康な歯質をできるだけ残すことが可能になります。
これにより歯自体の強度も維持され、治療後の破折リスクが下がります。
■歯科用CTの役割とは?
◎立体的に根の状態を把握できる
2次元での情報しか得られないレントゲンでは、重なった構造の奥まで見通すことが難しいという弱点がありました。
その点、歯科用CTは、歯や顎の骨を立体的に撮影することができるため、複雑な根の形や湾曲、病変の位置などを奥行きも含めて詳しく確認することができます。
根の先に膿のたまりがあるかどうか、骨の状態がどうなっているかなど、治療前に細かく確認できるため、無駄のない治療計画が立てられます。
◎再治療にも向いている
一度治療した歯に再び痛みや腫れが出た場合、通常のレントゲンでは異常が見つからないこともあります。
そういったケースでも、歯科用CTで原因となる病変を明確にすることが可能です。
再治療の成功率を高めるためにも、CTは有効な診断ツールといえるでしょう。
■先端機器を使った治療で自分の歯を長く使う
◎歯の寿命が延びる理由
精密な根管治療ができず、治療後に再感染が起こり再治療を繰り返すと、歯の内部構造や周囲の組織が徐々に損傷し、最終的には抜歯せざるを得なくなることも少なくありません。
もし抜歯までいかなくても、再治療のたびに削る部分も出てくるため、歯質は失われていきます。再治療がなくなれば、結果的に歯の寿命を伸ばすことにつながります。
◎歯の寿命が延びるメリットとは
天然歯を残すことは、噛む力の維持や咀嚼機能の安定、顎の骨の健康維持にも直結します。
インプラントや入れ歯と異なり、もともとの歯を使えるという点で身体へのなじみも良く、生活の質を高く保つことができます。
かかる時間や費用も軽減できるため、経済的な負担を抑えることにもつながります。
【再治療のない根管治療のために】
根管治療は歯の寿命を左右する重要な治療です。
しかし、目に見えにくい部分を対象とするため、従来の治療法では再発リスクが高いという課題がありました。
マイクロスコープと歯科用CTを併用することで、根管内部をできるだけ可視化し、治療の精度を高めることが可能になります。これらの設備が整っているかもホームページなどを確認して、納得のいく根管治療を進めてくださいね。