むし歯が進行すると、「神経を抜く必要があります」といわれることがあります。
その際に行われるのが根管治療です。
根管治療は、歯の内部にある神経や血管を取り除き、歯を残すために行う治療ですが、実際にどこまで進行したむし歯でそのような処置が必要になるのでしょうか?
この記事では、むし歯の進行度を紹介しながら、根管治療が必要になるケースについて詳しく解説します。
目次
■むし歯の進行度とは?
◎C0
C0は、むし歯のごく初期段階です。私たちが食べた食べ物によってむし歯菌が糖をえさに酸を作り出し、歯の表面のエナメル質を溶かしてしまうことで、歯が白く濁ったように見える状態です。
この段階ではまだ歯に穴が空いておらず、痛みもほとんどありません。
ブラッシングやフッ素塗布でエナメル質の修復(再石灰化)を促せば、大きな治療をせずに改善が期待できる場合もあります。
◎C1
C1は、むし歯菌によってエナメル質が侵食され、小さな穴が開き始めた状態です。
この時点でもまだ痛みはほとんどなく、軽度であればコンポジットレジンで修復できます。
◎C2
C2は、むし歯がエナメル質のさらに内部にある象牙質まで達した段階です。
象牙質はエナメル質よりも柔らかいため、むし歯の進行が早くなります。
この段階では冷たいものや甘いものがしみるなどの症状が現れることがありますが、まだ神経に到達していなければ通常の詰め物治療で対応可能です。
◎C3
C3になると、むし歯がさらに進行して歯の中心部にある歯髄、つまり神経に達した状態です。
この段階では、ズキズキとした激しい痛みを感じることが多く、放置すると神経が壊死する恐れもあります。
C3に進行してしまった場合、多くの場合で根管治療が必要になります。
◎C4
C4は、歯冠がほとんど崩壊し、根だけが残っている状態です。
この段階では、神経はすでに死んでしまっているため、痛みがなくなることもありますが、歯の根の先に膿がたまり、再び激しい痛みや腫れが起こることがあります。
C4では、根管治療で歯を保存できる場合もありますが、状態によっては抜歯が必要になることもあります。
■根管治療とは?
◎歯の内部をきれいにする治療
根管治療とは、むし歯菌によって感染した歯の神経や血管を取り除き、内部を清掃・消毒した上で薬剤を詰める治療です。
この治療によって、歯を抜かずに残すことが可能になります。
治療の流れは以下の通りです。
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むし歯の除去と神経の除去
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根管内の清掃・消毒
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根管充填
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土台と被せ物で補強
根管治療で感染が取り切れないと、再発してしまうこともあるため、しっかりとした治療が求められます。
◎回数にして2回〜8回程度
根管治療は、感染の程度や歯の状態によっても異なりますが、通常2回〜8回程度の通院が必要です。
■根管治療が必要になる症状とは?
◎強い痛みやしみる感覚
C3の段階では、ズキズキとした自発痛が現れたり、冷たいもの・甘いものに対して強くしみる感覚が出たりします。
これらは神経や血管が集まる「歯髄」に炎症が起きているサインです。
◎歯肉の腫れや排膿など
むし歯の菌が歯根の先端にまで到達すると、膿が溜まり、歯肉が腫れることがあります。
歯肉の膿が外に出るための白いできものができるケースもあり、これも根管治療が必要なサインです。鈍い痛みがある時も注意が必要です。
【むし歯は早期発見・早期治療がカギ】
むし歯は、進行すればするほど治療が大変になり、時間も費用もかかるようになります。
C2までなら比較的簡単な治療で済みますが、C3以降になると根管治療が必要になり、負担も大きくなります。
痛みが出る前に、定期検診でむし歯を早期発見・早期治療することが、歯を守るための最大のポイントです。
また、根管治療後も被せ物でしっかり補強し、再感染を防ぐために定期的なメンテナンスを続けていくことが大切です。