むし歯が進行して神経にまで達してしまった場合や、過去に神経を取った歯が再び痛み出した場合に行われるのが根管治療です。

この治療は、歯を残すための最後の手段とも言われ、当院ではマイクロスコープやラバーダムなどを用いた精密根管治療にも対応しています。

※精密根管治療は自由診療です。

この記事では、精密根管治療の流れと治療期間について詳しく解説します。

■精密根管治療とは、どんな治療？

◎歯の神経を取り除いて、内部をきれいにする治療

根管治療とは、歯の内部にある根管と呼ばれる管の中から、感染した神経や細菌を取り除き、内部を消毒、密閉する治療です。

放置すると歯の根の先に膿がたまり、激しい痛みや歯の喪失につながります。

精密根管治療とは、これらの治療をマイクロスコープなどの機材を用いて、より精密に行う治療のことです。

歯の神経を取り除いた後も、歯は噛む機能を保つことができます。

しかし、内部の清掃と密閉が不完全なままだと、再感染する恐れがあるため、特別な設備や機械を使って細部まで丁寧な処置が求められるのです。

■精密根管治療の流れ

◎1｜精密検査

口腔内写真の撮影や、レントゲン、歯科用CTによる撮影を行い、歯の根の本数や湾曲の程度、過去の治療の有無、病変の有無などを確認します。

◎2｜診断と治療計画の説明

検査結果をもとに、感染の範囲や治療の難易度を診断し、患者様に治療の流れや回数、注意点などをご説明します。

◎3｜隔壁の作製

歯のまわりにラバーダムを装着するため、必要に応じてレジンなどの材料を使って歯に壁をつくる処置を行います。これにより、治療中の歯をしっかりと保護する土台ができます。

◎4｜ラバーダム処置

治療する歯だけを露出させ、唾液や細菌の侵入を防ぐためにラバーダム防湿を行います。この処置により、治療中の感染リスクを大幅に減らすことができます。

◎5｜治療開始

むし歯や過去の詰め物を除去し、必要に応じて神経を取り除きます。

マイクロスコープを使用して根管内を拡大視野で確認しながら、感染した組織や細菌を薬剤で丁寧に洗浄、消毒します。

根の中が清潔になった段階で、すき間のないように薬剤で根管を密閉し、仮封を行います。

◎6｜支台築造、被せ物（クラウン）の作製・装着

根管治療を終えた歯は、そのままでは割れやすいため、内部に支台を立てて強度を補います。

その上から人工歯となる被せ物（クラウン）を装着することで、噛む機能と見た目の回復を図ります。装着が完了すれば治療終了です。

■根管治療にかかる期間はどれくらい？

◎通常は2回～8回程度の通院が必要

根管治療は1回で終わることはまれで、通常の根管治療（保険診療）の場合、2回～8回程度の通院が必要です。

しかし、精密根管治療（自由診療）の場合は一度に多くの時間を取れるため、1回～3回程度で終わることも多いです。

1週間ごとに通う場合、全体の治療期間としては1ヶ月ほどが目安です。

◎再治療や複雑な症例はもっと時間がかかる

過去に治療した歯の再感染や、根管が曲がっていたり細かったりする場合は、治療がさらに難しくなります。その場合は5回以上の処置が必要になることもあります。

■メンテナンスについて

◎定期的に根尖（こんせん）の様子を確認する

根管治療が完了した歯は、見た目には問題がなくても、根の先に再び炎症が起きる可能性があります。

そのため、治療後も定期的なレントゲン撮影などによって、根尖（根の先）の状態をチェックすることが重要です。

特に再治療を行った歯や、もともと病変が大きかったケースでは、数ヶ月～1年おきの経過観察がすすめられます。

◎被せ物の状態や噛み合わせにも注意

治療後の歯を長持ちさせるには、クラウンなどの被せ物が適切にフィットしていることも重要です。

歯科医院での定期検診の際には、被せ物の状態や噛み合わせも併せて確認してもらいましょう。

【根管治療は丁寧な処置と継続が大切】

根管治療は、目には見えにくい部分を治療する緻密な処置です。

しっかりとした技術と、設備の整った歯科医院で受けることで、抜歯をすすめられた歯を使い続けられるかもしれません。

歯を残すための選択肢として、信頼できる医院で精密根管治療を行うこともぜひ検討してみてください。