
むし歯が進行して神経まで達すると、ズキズキという強い痛みが出ます。
このような時、神経を抜く処置になることが多いですが、実は歯の神経や歯根は、歯の健康を保つうえでとても大切な役割を担っています。
できる限り自身の歯を長く保つためには、神経を残すことが重要です。
この記事では、歯の神経がなぜ大切なのか、歯根がダメージを受けるとどうなるのか、そして根の治療を成功させるためのポイントについて詳しく解説します。
目次
■歯の神経が大切な3つの理由
◎痛みを感じて危険を知らせてくれる
歯の神経は、外部からの刺激や感染に敏感に反応します。
冷たいものがしみたり、噛むと痛みが出たりするのは、歯が危険信号を出している証拠です。
この痛みは、むし歯や炎症を早期に発見するための重要なサインとなります。
◎歯に栄養を届けてくれる
神経の中には血管が通っており、歯に栄養や酸素を供給しています。
この働きによって、歯は健やかな状態を保つことができます。
神経を失った歯は、やがて水分や弾力を失い、もろくなっていく傾向があります。
◎歯の寿命に影響する
神経を失った歯は、見た目が変色しやすくなるだけでなく、強い力がかかったときに割れやすくなります。
特に、奥歯のように噛む力がかかる歯では、神経の有無が歯の寿命を大きく左右することもあります。
■神経に問題が起こる原因とは?
◎むし歯
むし歯が進行して神経がむし歯で侵されると、やがて神経に感染が広がり、神経を抜く処置が必要になります。
感染した歯髄(神経や血管が集まっている神経部分)を残すのはとても難しく、多くの場合は神経を抜く処置になります。
◎力がかかることによる炎症
歯ぎしりや食いしばりなどによって歯に過度な力がかかると、神経が炎症を起こすことがあります。
これは一時的なものとしておさまるケースもありますが、目に見えない亀裂などが入っているとそのまま細菌感染を起こすこともあります。
■神経の処置は歯を残すための処置
◎そのまま放置するとどうなる?
神経が炎症を起こしたり、すでに壊死してしまったりした状態を放置すると、歯根の先に膿がたまり、周囲の骨を溶かしてしまうことがあります。
歯根破折のリスクも高くなり、最終的には抜歯が必要になるケースもあります。
◎抜歯にならないために
神経の問題を早期に発見し、適切な根管治療を行うことで、歯を抜かずに残すことが可能な場合もあります。
歯根がしっかりと残っていれば、被せ物などで補うこともでき、見た目も機能も維持しやすくなります。
■歯を残すための精密根管治療とは?
◎根の中をきれいにする
精密根管治療では、マイクロスコープやラバーダムなどの機器を使用し、根の中の感染物質をきれいに除去します。
従来の治療よりも高い精度で処置が可能になり、再発のリスクを大きく下げられます。
◎成功率が大きく向上する
保険診療の根管治療に比べて、自由診療で行う精密根管治療は治療環境や使用する材料、時間配分などに制限がありません。
根管治療は保険診療内でも可能ですが、自由診療の根管治療は成功率が高く、その確率は90%以上ともいわれています。
特に再治療が必要な難しいケースでは、成功率の差が顕著に出ます。
【むし歯が神経に達してしまっても、歯を残すために】
神経を残しておけるのであればそれに越したことはありませんが、どうしても神経を取らなければならない場合もあります。
そのような場合は、できるだけ再発を防げる精密根管治療はメリットの多い治療法です。
将来、自分の歯でしっかりと食事を楽しむためにも、歯の神経の役割を理解し、大切に守っていきましょう。
神経の痛みや違和感があるときは、できるだけ早く歯科医院を受診し、適切な診断と処置を受けることが大切です。